公立大学法人 都留文科大学

Think Globally, Act Locally

比較文化学科

研究室 & ゼミ紹介(比較文化学科)2

更新日:2021年3月26日 ページ番号:0005070

授業風景

社会や文化が押しつける役割に とらわれることなく、 固定観念を“越境”する人間になってほしい。

佐藤 裕 先生
佐藤 裕 先生

私はグローバル社会論と比較 社会学の立場から、途上国の開発 と発展を考察しています。外国から多くの企業が進出し、巨額 の開発援助によってインフラが着々と整備されている途上国 の社会変化は、もはや国という枠だけでは捉えきれません。 私のゼミでは発展が著しい途上国社会を、貧しい人々、特に その社会で周辺的な立場にある集団や、女性の立場から理解 することに主眼を置いています。また、かつて途上国だった 日本の近代化と生活改善の経験にも注目しています。  私には9歳の子どもがおり、仕事と家族形成の両立の難しさ を実感しています。私はインドでフィールドワークもして きましたが、途上国の貧困層にいる女性たちは過酷な労働を 強いられています。衣食住に事欠くなかで日中は外で働き、

 家に帰れば子どもの世話や親の介護が待っています。私は 日本という経済的にも恵まれている国で「人間らしい」生活 を享受し、研究や教育を生業とすることができています。こ の職業キャリアもおそらく家族の犠牲なしには成しえな かったと思います。そうした私自身の経験も反省的に学生に 伝えていければ、と思っています。  学生は頭がやわらかく、こちらが気づかない視点を指摘 してくれることがあります。そんな時、「ああ、このために仕事 をしているんだな」と本当にうれしくなります。学生には紋 切り型の発想や考え方だけでなく、社会の風潮を少しはすに 構えて見る力を身につけてほしいと思います。また、男や女、 社会での役割など、固定的な役割にとらわれず、固定観念を “越境”するような自律的な個人であってほしいです。