授業紹介【共生社会論】
共生社会論
「異文化の理解」と大上段に構えず、
お互いを認め合う「異文化の了解」を目指す。
「異文化の理解」という言葉がよく使われますが、はたして異文化を「理解する」ことは、そんなに簡単なことでしょうか。私たちは同じ文化圏で生活する人びとや、さらにいえば自分自身のことですら、本当に「理解」しているのかは疑わしいように思います。そこで私の講義では、文化人類学者の関根康正先生にならい、異なる考えをもつ人びとの存在を認め合う「異文化の了解」という概念を使用しています。また、私たちは自分がマジョリティの側に属していると考えがちですが、環境の変化によって人はいつでもマイノリティになりえます。受講生には、つねにマジョリティとマイノリティを反転させた視点で社会を眺めてほしいと考えています。
この講義を履修している先輩の声
私は高校の頃から英語が好きで、英語の勉強が続けられ、かつ第二外国語としていろいろな国の言語を学べるということが、都留文科大学の比較文化学科に興味を持った第一歩です。パンフレットを読み込み、比較文化学科の先生方の研究内容に、「高校までとは全く違うことが学べるんだ」と、とても魅力を感じ、この学科を選びました。比較文化学科の学びの中で、いろいろな視点で物事を見ることができるようになったと感じています。在学中にカナダに留学したときには、現行社会の中ではマジョリティ側にいる私が、環境が変わればマイノリティにもなり、自分がマジョリティ側の視点で社会を見ていたことにも改めて気付かされました。さらに学びを深めたいと大学院に進学し、現在はジェンダー・セクシュアリティの分野の研究に取り組んでいます。
「共生社会論」ってどんな授業?
「共生社会論」では、異なる文化の出会いの場を意味する「コンタクトゾーン」に着目し、異文化に属する人々が互いの存在を「了解」することがいかに可能かを、特に移民・外国人の視点から考えます。前半では多文化共生がどのようなことを意味するのか、なぜ現代社会において人は移動(移住)するのかを考え、中盤以降では、米国・ロサンゼルスの日系人移民社会や日本とブラジルの交流史について学びます。また、映画を視聴し、ロサンゼルスの民族多様性と対立・衝突について考察します。