公立大学法人 都留文科大学

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学校教育学科

研究室 & ゼミ紹介3

更新日:2022年4月1日 ページ番号:0007046

授業風景

理科は楽しい。でもそれだけで終わってほしくない。
自然を理解すればするほど時空間的な視野が広がり、客観的・俯瞰的に物事を捉えることができるようになります。

別宮 有紀子 先生
別宮 有紀子 先生

 今、大気中のCO2濃度の増加が問題になっていますが、皆さんは、現在の大気CO2濃度(約400ppm)は多くの植物にとって低すぎる、ということをご存知ですか?CO2は光合成の原材料であり、植物にとって生きるために必要な物質ですが、地球上に現存する多くの陸上植物の祖先が誕生した白亜紀には、大気CO2濃度が1000~2000ppmだったと考えられています。彼らはCO2濃度が高い環境に合った生理特性を持っているため、現在の大気CO2濃度は低すぎるというわけです。また、地球の歴史を見れば、大気CO2濃度も気温も、過去に大きく変動を繰り返しながら現在に至っていることもわかります

 私たちは、無意識に人間中心的な価値観で物事を判断しがちですが、地球の歴史や生物の進化、生物多様性や、環境と生物の関係、生態系の成り立ちを知ることによって、時空間的な視野が広がり、より客観的・俯瞰的に物事を見ることができます。それは先の見えない社会の中で、変動する地球環境と上手く付き合いながら、持続可能な社会を構築するための礎にきっとなるはずです

 私が担当する生物ゼミでは、小中学校の理科・生物分野の教材研究にとどまらず、細胞レベルから生態系・地球規模の現象まで様々な視点で学習をおこなっています。また、実際の自然に触れ、生物や生態系に対する理解を深めるために、野外実習や地域の生きもの保全のための研究や活動なども多く取り入れています。教科書は世界を知るための入り口でしかありません。学生の皆さんには、実在の複雑で多様な世界へと飛び出し、自分と世界・自然とのつながりについて多くのことを学んでいって欲しいと思います。