神長 唯 研究室

キーワード:

環境社会学・「四日市公害と環境未来館」・公害資料館・公害の継承・三多摩格差・社会運動

この研究室・ゼミの教員

カミナガ ユイ

神長 唯

KAMINAGA Yui

教養学部 地域社会学科 教授

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○ 専門分野
人文・社会 社会学

○ 学位
社会学修士(東京都立大学)、博士課程単位取得満期退学(東京都立大学)【専門社会調査士(第002116号)】【科研費研究者番号 60533966】

研究を始めたきっかけ

 忘れもしない、大学1年次に受けた「社会学」の担当教員は都留文科大学(!)の先生でした。その年だけ、ピンチヒッターとして母校に教えに来ていました。環境問題と社会のつながりを扱った授業は目から鱗・腑に落ちるの連続で、「翌年も社会学が学びたい」と勇気を出してその先生に質問した所、「僕はもう来ないけど、環境社会学を日本で始めた飯島伸子先生が4月から着任するよ」と笑顔の切り返し。以来、東京都立大学を退官されるまでの8年間、学部・修士・博士課程をずっと「環境社会学の母」の下で学びました。2年次のゼミ所属でまさに人生、決まりました。

わたしの研究室

 「つなぐ・伝える・つくりだす」...環境社会学ゼミのスローガンです。「(未来へ、地域と)つなぐ・(未来へ、地域に)伝える・(過去から未来を)つくりだす」ことを、ゼミ生たちは常々意識して、実践します。

 毎夏、3年ゼミは四日市公害の教訓を現代に活かすべく、三重県四日市市で2泊3日の学外実習を行います。事前に四日市公害に関する資料を輪読、当時の映像を視聴するなど予習の上で必ず臨みます。市立の公害資料館である「四日市公害と環境未来館」をじっくり見学するだけでなく、実際に現地を訪れ(写真上:コンビナート対岸400メートルの被害甚大地域に降り立ち、説明を受けるゼミ生)、四日市港管理組合による港湾部の歴史的形成過程と今日的課題をふまえたレクチャーと視察、関係者への聞き取り調査...と盛りだくさんの現地調査です。被害者の苦しみ、当時の生活、そして今の四日市の青空のまぶしさ、いずれも現場で体感することが重要です。

 四日市を通して多角的にものごとを捉えられるようになったゼミ生は、それぞれの出身地や縁のあった地における公害・環境問題について自ら聞き取り調査を行い、卒業論文に昇華させます(最近の主な卒論テーマ:足尾鉱毒事件、宝鉱山、薬害、カネミ油症、公災害リスク、公害資料館、リニア開発、ごみ紛争、食品ロス、観光公害、香害など)。

いま興味のあるテーマ

 公害・環境問題が地域社会に与えるインパクトや地域間(内)格差に注目しています。2015年、「四日市公害と環境未来館」という公害資料館が四日市市に開館して早10年。四日市ぜんそくを引き起こした大気汚染公害を過去の出来事と片づけることなく、いかに「公害は終わっていない」という警鐘とともに地域に起きた公害の事実と教訓を継承するか、ゼミ生を巻き込んで考え続けています。もともと「三多摩格差」に興味があり、東京都西多摩郡日の出町におけるごみ処分場をめぐる住民運動研究を再開した所です(写真下:日の出町フィールドワークで、トラスト運動のアート作品の説明を受ける学生)。