造形表現論 平面 竹下 勝雄
キーワード:
図画工作、絵画
この研究室・ゼミの教員
研究を始めたきっかけ
私は大学で絵画(油画)を専攻した。障害を抱えたある生徒との出会いが私の美術に対する向き合い方を大きく変えた。親からの要望は絵画で立体感や空間認識能力を養ってほしいというものだったが、初めた頃の生徒は活動時間になってもなかなか取りかかろうとしなかった。ある時、生徒の興味の対象が自分の部屋であることを知り、部屋の間取り図から展開図に起こし、紙工作に仕上げた。空間にあるものの位置関係をとらえることで、空間を認知する力が養われ、時間の長短をイメージすることもできるようになる。活動時間に対しての意識の変化が生まれたのを記憶している。この経験から絵に表す活動の意味は人それぞれあるのだと気付かされたことから、学生時代に培った美術の専門知識を教育に結び付けて考えるようになった。
わたしの研究室
実技制作を通して図画工作の指導に必要な造形の基礎を学ぶとともに、図工・美術の視点から小学校の活動や教科観について考え、理解を深めます。その活動を支えるのが、手や体全体を働かせて対象と関わること、すなわち新体制の伴う制作体験です。子どもたちは図画工作の活動の中で、クレヨンや水彩絵の具といった描画材はもとより、自然素材や身辺材など実に様々な材料や用具に触れます。本学は自然環境に恵まれているので、近隣で造形的に面白い形や美しい色をもつ天然の素材が豊富に揃っています。つくりだす過程で出会う形や色、手触りなどから、感じたことや思ったことを五感に響く様々な言語活動を介して、仲間と自分の考えを話したり、伝え合ったりして、新たな知識を獲得しながら学びの質を高めて行きます。また、専門性を活かして、特別支援教育の観点から子どもの発達や特性を踏まえた学習活動を支える教科指導のあり方を実践から学び、卒論と卒業制作で各人の問いを明らかにしてゆきます。
いま興味のあるテーマ
児童生徒が図画工作科や美術科の授業で取り組む諸活動の内容及び扱う材料や用具について、指導者自身の絵画制作や発表活動を通じて、その教育的効果や意義を考えること。
また、特別なニーズのある児童生徒、卒業生の社会的自立や社会参加に貢献できるアート活動のあり方とは何かを探ること。