加太 康孝 研究室
キーワード:
世界文学、英語圏、翻訳、多言語、多文化
この研究室・ゼミの教員
研究を始めたきっかけ
⽂学研究というのは本が⼤好きで、しかも感受性や表現⼒にあふれた⼈が⾏う、かっこいいけど⾃分には縁のないものだ。私はそう思っていました。しかし学問としての⽂学はむしろ⾔葉でできた⽂章を丹念に読み、そこから出てきた成果を積み上げていく営みであるということがわかりました。さらに、そのようにして文章と向き合うことを通じて私たちのこの世界について考えを深められるということが魅⼒で、⽇々作品や資料に向き合っています。

わたしの研究室
このゼミでは世界文学の看板の下、英語圏の文化を扱っています。英語圏という言葉が指す対象はとても広いです。英語はイングランドという小さな国で生まれましたが、今では世界語のひとつです。英語原作の文学作品、文化作品だけでも膨大な量にのぼります。他方で、他の言語から翻訳され、英語圏で親しまれているものも多いです。
このように、言語や文化は地理的な境界を越えることがあります。さらに時を越えて伝わることもあります。この越境の際に何が起こっているのか? どのような作品がどのように境界を越えるのか? これらがこのゼミでの大きな問いとなります。そんな大きな問題意識も持ちつつ、まずは個々の文学作品、文化作品に親しみ、楽しみ、真摯に向き合って、自分の考えを精確に表現できることを目指しています。そのため、英語力の向上にも力を入れているゼミです。
最後には集大成として卒業論文を書いていますが、扱う地域や時代、テーマはさまざまです。アイルランド、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランドといった英語圏で生まれた作品も多いですが、日本語をはじめとする他の言語から英訳され英語圏で読まれているものを題材にしているものもあります。
いま興味のあるテーマ
今からちょうど100年前くらいの時期にイギリスの首都ロンドンで活躍したヴァージア・ウルフという作家がいます。ウルフは数回の旅行を除いてずっとロンドン周辺に住んでいたのですが、ウルフは英語以外で書かれた作品にも大いに興味を示しました。そうした英語圏外の作品(紫式部の『源氏物語』も含まれます)の影響は意識的にも無意識的にも大きく、逆にウルフの作品が同時代や後世の他の地域の文学作品に影響を及ぼすようにもなります。そのような、ウルフを結節点とするような世界文学ネットワークに関心を持っています。