小村 宏史 研究室

キーワード:

上代文学、古事記、日本神話

この研究室・ゼミの教員

オムラ ヒロシ

小村 宏史

OMURA Hiroshi

文学部 国文学科 准教授

研究を始めたきっかけ

月並みですが、大学で上代ゼミに所属したこと、ということになるかと思います。生まれが出雲で、幼少期から所謂「日本神話」について触れる機会が多かったので、卒論執筆も容易だろう、と安直に考えてゼミを選んだわけですが、研究というのはそんな簡単なものではありませんでした。植え付けられた先入観に惑わされず、テクストの言語表現に真摯に向き合う姿勢を師から叩き込まれたことが今の礎となっていると思います。

わたしの研究室

当ゼミでは、上代(奈良時代以前)の文学作品を扱います。具体的には、『古事記』『日本書紀』『万葉集』、各国「風土記」などがそれに該当します。

ゼミでの活動概容としては、まず3年次前期に真福寺本(現存最古の『古事記』写本)を対象にした演習発表(本文校訂、語句の解釈、文脈読解)を通して、作品にアプローチする基礎的な力を身につけます。3年次後期からは各自の問題意識に基づいた研究発表を重ね、卒業論文の執筆につないでもらいます。所属学生たちは自らの関心にもとづいて、韻文・散文作品の解釈のほか、言語表現の背景にある思想の検討など、多様な研究テーマに取り組んでくれています。

大学の学問は卒論のためだけにあるのではありません。卒論は学問のゴールではないのです。ゼミで作品と真摯に向き合い、意見交換するなかで得た「人文知」を生かし、自らをとりまく世界の把握につなぐこと――上代文学研究の意義はそこにこそあります。

いま興味のあるテーマ

私自身の研究対象は、上代文献に記された神話記事です。神話とは、神(超越的存在)の事績を語ることにより、宗教的・呪術的な力によって、現実世界に存在する疑問・矛盾・危機意識等を解消する力を持つものと定義されます。そうした神話的言説が作品内部の〈語り〉の装置としてどう活用されていたか、文献上の言語表現の検討を通して解明することが私の研究テーマです。

神話というといかにも古代的発想の産物のようですが、実は現代の文化事象とも無縁ではありません。共同体が不安や危機に直面した際、神話的言説が求められることは現代でもままあります。新型コロナウィルス禍のなかで、「アマビエ」なる妖怪図像が人気を集めたのはその一例でしょう。古代を通して現代をみる、私は常にそれを意識しています。

研究テーマ

○ シーズタイトル

○ 研究者名