研究室 & ゼミ紹介5
現代アメリカ演劇の魅力に迫る
当ゼミは、20世紀および21世紀に上演されたアメリカ演劇の作品(ミュージカルも含む)をテキストにして、その作品世界の真の魅力に迫ることを目標にしています。劇作品を3つの視点から分析することを基本方針にして、受講者各自が主体的にゼミに参加できるように心掛けています。
ここでの3つの視点とは、演劇・文学・アメリカ研究がキーワードとなります。具体的には、まず第1に、科白やト書き、劇の構造、照明や音響効果、衣装や舞台装置などに着目し、上演を前提とした作品理解を目指します。その際、劇作品が様々なメディア媒体においてどのように受容されているかを探究するために、数多くの劇評や批評もその分析対象とします。
次に、アメリカ文学の作品として分析する手法により、文学的とも言えるテーマを探究します。生と死、孤独、貧困、暴力、テクノロジーと労働、愛、友情、結婚、家族、アイデンティティ、移民、差別、政治、宗教などをテーマにしている劇作品群を取り上げ、人間や世界の営みについての哲学的思索へとつなげてゆきたいと考えています。
そして、アメリカの劇作品を、アメリカ研究的なアプローチを用いて分析することも重視しています。演劇は社会の鏡なので、劇作品には歴史的な時代相が反映されています。また、アメリカの劇作家は、エスニシティやセクシュアリティ、地域性の面でも非常に多様性に富んでいます。アメリカン・ドリーム、ユダヤ系やアフリカ系アメリカ人の演劇、エイズ禍における同性愛者たちの生き様、9.11同時多発テロとイスラム系アメリカ人などがそのテーマ設定として挙げられます。アメリカ演劇の研究を通じてアメリカやアメリカ人のことについても学びを深めることができるのです。