20世紀アイルランド、イギリスと世界文学

分野:

英語文学 文学

キーワード:

# 世界文学 # 英語圏 # 翻訳

SDGs:

5 ジェンダー平等を実現しよう 10 人や国の不平等をなくそう 16 平和と公正をすべての人に

このシーズの研究者

カブト ヤスタカ

加太 康孝

KABUTO Yasutaka

文学部 英文学科 講師

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○ 専門分野
人文・社会 英文学、英語圏文学

○ 学位
ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ 英文学部、東京大学(博士課程) 総合文化研究科 地域文化研究専攻、東京大学(修士課程) 総合文化研究科 地域文化研究専攻、東京大学 教養学部 地域文化研究学科

研究を始めたきっかけ

⽂学研究というのは本が⼤好きで、しかも感受性や表現⼒にあふれた⼈が⾏う、かっこいいけど⾃分には縁のないものだ。私はそう思っていました。しかし大学のときのある英詩の授業で、ただ機械的に音や形式、内容を洗いざらい徹底的に調べて発表したところ、とても高い評価を受けました、それだけでなく、他の学生や先生との議論を通じてたくさんの発見があり、とても楽しい時間となりました。学問としての⽂学はむしろ⽂章を丹念に読み、その成果を積み上げていく営みであるということがわかりました。さらに、そのように文章と向き合うことを通じて私たちの世界について考えを深められるということもわかり、その魅⼒に引き付けられました。

研究概要

今からちょうど100年前くらいの時期にイギリスの首都ロンドンで活躍したヴァージア・ウルフという作家がいます。ウルフは数回の旅行を除いてずっとロンドン周辺に住んでいたのですが、ウルフは英語以外で書かれた作品にも大いに興味を示しました。そうした英語圏外の作品の影響は意識的にも無意識的にも大きく、逆にウルフの作品が同時代や後世の他の地域の文学作品に影響を及ぼすようにもなります。そうした作品には古代ギリシアの古典や近代ヨーロッパの名作といったもの(日本でもよく読まれたり演じられたりしているロシアの戯曲家チェーホフにもウルフは大いに惹かれました)から、紫式部の『源氏物語』まで幅広い作品が含まれます。そのような、ウルフを結節点とするような世界文学ネットワークに関心を持っています。

連携できるポイント

ひと言で申し上げれば、多言語、多文化の現代社会に関することです。現在の日本社会は英語圏に関わる諸問題を多く抱えています。たとえば英語をなぜどのように学び、言語に関してどのような世界を目指すべきか、英語とどう付き合うべきかといった問題意識をお持ちの組織は少なからずあると考えられます。世界文学にはこのような言語を巡る文化的、政治的な力学の問題も含まれますので、この点でお役に立てると考えています。ジェンダーや社会階層、人口動態や加齢(日本であれば少子高齢化)といった普遍的な問題についても、地域ごとに捉えられ方が異なり、世界文学はまさにそのような普遍的な問題の地域的、時代的差異を扱うものですから、異文化交流に関わるようなことでしたらお力添えできるかと思います。

提供できるシーズまたは支援できる分野

文章を丁寧に読むということが基本となりますので、小学生から大学生はもちろんのこと、教育関係の業務についてはさまざまにお力添えできます。日本語や英語で書かれた文学作品をどのように読むかという催しはもちろんのことですが、上記のような20~21世紀の英語圏に関わる諸問題に関するワークショップを開催することもできます。