映像メディアの発展が人間の「ものを見る」行為に及ぼした影響について

このシーズの研究者

セオ タカシ

瀬尾 尚史

SEO Takashi

国際交流センター 特任教授

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○ 専門分野
人文・社会 美学、芸術論

○ 学位
パリ第一大学(パンテオン・ソルボンヌ)、一橋大学 大学院 言語社会研究科 博士課程

研究を始めたきっかけ

子どもの頃から好きだった映画についてより深く知るために、大学は映画史や映画理論について学べる学部に進みました。卒業後は、映画研究が盛んなフランスに留学し、ソルボンヌとして知られるパリ大学の大学院で本格的に映画研究を始めました。博士論文では、リュミエール兄弟が発明した最初期の映画装置シネマトグラフで撮影された映像を取り上げました。パリは世界最高の映画都市であり、留学中は名画座や国立シネマテークなどに通い詰めて、古今東西の映画作品を大量に観ることができました。そのことは、現在の私の研究の基礎となっています。

研究概要

19世紀末に発明された映画という新しいメディアによって、世界の在り方は大きく変容を遂げたと言えるでしょう。異国の風景や遠く離れた場所に住む人々の生活の様子を、動く映像によって生々しく伝えることが可能になったのです。映画装置の発明者と言われるフランスのリュミエール兄弟は、世界中にカメラマンを派遣し「異文化」を撮影しました。それらの映像には、その当時の世界各地の風俗習慣が「リアルに」記録されています。だからといって、それらが当時の現実の姿をありのままに伝えていると安易に考えてはいけないでしょう。なぜなら、そこには撮影をしたフランス人カメラマンたちの「異文化への眼差し」が克明に刻まれているからです。私の研究では、最初期の映画における「異文化の表象」が、どのようなものであり、それらによって当時の観客たちの異文化への価値観やイデオロギーがどのように形成され、変容していったのかを探求しています。そこから、映像に取り囲まれた今日の私たちが、どのように映像環境の変化に向き合うべきかのヒントも探っていきたいと考えています。

連携できるポイント

長期の留学経験や、国内外での研究調査、国際映画祭への参加などで得られた映画や映像メディアに関する幅広い知見は、映像無しではあり得ない今日の私たちの生活において、映像と如何に向き合うべきかを考察する際に役立つものだと考えています。

提供できるシーズまたは支援できる分野

  • メディア・リテラシーに関する教育
  • 映像を通じた国際理解に関する教育