中学校・高等学校の国語科教育の研究

SDGs:

4 質の高い教育をみんなに

このシーズの研究者

タナカ ヒトシ

田中 均

TANAKA Hitoshi

文学部 国文学科 特任教授

研究を始めたきっかけ

高等学校国語科教員として17年勤務し、8年間の教育委員会勤務がありました。この間、中学校・高等学校の国語科の教科指導にかかわる中で、国語教育の意義とその役割を強く感じたことが研究のきっかけです。多くの学校の先生がたとの交流を通じて、旧来型の国語の授業から脱却し、学習者主体の国語の授業を作り上げていくことが必要だと思うようになりました。大学の教員となってからは学習科学の知見を得て授業づくりのノウハウを研究してきました。今、ICTの活用や生成AIの活用といった学習環境の変化があります。こうしたなかで、日々の教育実践を支えていく力の根源を探っていきたいと思っています。

研究概要

①国語科教育に関する研究:中学校・高等学校を中心に生徒が学習の主体となるような国語科授業をどのように作っていくかを研究しています。基盤となる学習材(教材)のもつ力を引き出しながら、新しい学習指導の方法と結び付けた授業づくりを研究しています。

②国語教育史に関する研究:明治期以降の近代国語教育に関する実践と理論について研究しています。とりわけ「読むこと」の学習がどのように構想されて令和の今日に到達してきたかを中心にした研究を進めています。

③近代日本文学に関する研究:国語科教科書に掲載されている物語や小説を中心にして、読みが深まる道筋を研究しています。物語の構造分析、ナラトロジー、読者論や読書行為論などの観点を援用しながら研究を進めています。

連携できるポイント

①中学校・高等学校の国語科の先生方との交流を通じて、日本語の文章の深遠さを痛感します。「読むこと」にせよ「書くこと」にせよ、文章に熟達することこそ国語科授業の真髄であると考えます。さらに多くの先生方との授業経験の交流を通して、学校での国語科の授業の改善に資することができると思っています。

②国語科の学習指導要領は改訂のたびに変化してきているように見えますが、国語教育の歴史をひもといていくと一貫して学習者を主体にするための在り方を模索してきていることが分かります。学習指導要領を超えたところにある国語科教育の源流を大切にする授業の在り方を先生方とともに考究していきます。

③小学校から高等学校までの国語科教科書には定番と呼ばれる教材が掲載されています。手慣れているはずの教材も授業のたびに新たな読み方に気づかされることは少なくありません。「奥深い読み」にどのようにして辿りつくかを研究することで、学習者の生涯の力となる国語科の授業を提案していきたいと思います。

提供できるシーズまたは支援できる分野

中学校・高等学校国語科の授業改善に向けた指導・助言を行うことができます。具体的な教材について、その分析方法や授業デザインの方法、さまざまな授業方法の活用など、一人ひとりの学習者を活性化し、支援する方法について指導・助言します。