このシーズの研究者

キタガキ ケンジ
北垣 憲仁
KITAGAKI Kenji
地域交流研究センター 教授
研究を始めたきっかけ
私は、都留文科大学に小学校の教員を目指して入学しました。もともと動物に強い関心があったため、ゼミは動物学研究室(当時)を選びました。本学のキャンパスの周辺は自然が豊かで、時間があればいつでも動物が研究できる環境に恵まれています。動物学を専門とする先生がたからは、動物を捕らえてきて研究する飼育ではなく、動物ほんらいの生き生きとした姿が観察できるフィールドでじかにムササビなどを観察する楽しみと手法を学びました。それは私が研究を始める大きな契機となりました。

研究概要
モグラ類は人の暮らしにもっとも近い環境に生息しているにもかかわらず未だにその生態や行動には謎が多い哺乳類です。またモグラ類で半水生哺乳類のカワネズミ(Chimarrogale platycephalus)が都留市にも生息していますが、その生態や行動はほとんど明らかになっていません。哺乳類はさまざまな行動のなかで狩り行動を洗練させてきました。そこで水中での一連の狩り行動について学生時代から研究を継続してきました。野外での研究は、観察するフィールドを探し観察方法を工夫することから始まりました。生息する河川では波が立ち水中で獲物を狩る行動がはっきり分かりません。そこで水槽を使用した観察装置を工夫することで一連の狩り行動をガラス越しに観察できるようになりました。このようにして動物の生態や行動に即した観察の手法を工夫することで、動物ほんらいの姿に出会える魅力的な「生きた展示空間」ができるのではないかと考えています。こうした研究の成果を、地域全体をミュージアムと見立てる構想(「つるフィールド・ミュージアム」)の実現に活かしていきます。

連携できるポイント
身近な哺乳類(ムササビ、ニホンリス、野ネズミ、モグラ類など)の研究の結果、さまざまな生活痕を標本として蓄積してきました。こうした標本を活用した地域の小学校などでの自然観察会を行うことができます。また活動内容に応じて標本の貸出などもできます。
提供できるシーズまたは支援できる分野
身近な自然の魅力を探る自然観察会やムササビ観察会、地域の自然に関する講演などが可能です。

社会的成果または実用化された内容、商品、特許など
都留市での動物研究の成果を図鑑として出版しました(『小学館の図鑑NEO 動物』小学館)
産学・地域貢献に関する経験・実例及び連携できる団体
地域の小学校における学校林を活用した環境学習や学生、教職員、市民対象のムササビ観察会を開催してきました。