ジャンプ運動を用いた下肢の筋力・パワー発揮能力のアセスメント

SDGs:

3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに

このシーズの研究者

ズシ アマネ

図子 あまね

ZUSHI Amane

教養学部 学校教育学科 講師

研究を始めたきっかけ

体育・スポーツの研究者であると同時に実践現場の指導者であった父の姿を見て、幼いころから研究職に憧れを抱いていました。中学生から大学生の10年間、陸上競技の走幅跳と三段跳を専門として競技を行っており、日々のトレーニング内容は、自分自身の課題を解決するために有効であると科学的に裏付けられたものを実施していました。大学4年次に参加した学会で、研究結果を実践現場へ応用する方法や実践への示唆が無いまま終わる研究もあること、研究は結果が複雑でどのように利用してよいかわからず実践では全く役に立たないと考える指導者や選手が存在していることが分かりました。そこで、指導者や選手がトレーニング現場で利用できる研究をしたいと思ったことをきっかけに、大学4年次から一番身近なテーマであったリバウンドジャンプに関する研究とその結果を基にした陸上競技部へ科学的サポートを始めました。

研究概要

重力環境下で行う多くのスポーツに重要な下肢筋力・パワー発揮能力は、リバウンドジャンプの跳躍高を接地時間で除したリバウンドジャンプ指数により評価されてきました。そこで、アスリートを対象にリバウンドジャンプを用いて下肢3関節(足、膝、股関節)ごとの筋群の働きを示す関節力学量を評価指標とした、新しい下肢筋力・パワー発揮能力の評価診断法の開発を進めてきました。これまで、赤外線カメラとフォースプレートを用いてリアルタイムに関節力学量を算出可能なシステムを開発し、算出に多大な労力と時間を要するため測定直後に利用できなかった関節力学量を評価指標として用いることが可能となりました。加えて、スポーツの種目特性や性差を考慮した評価基準や動作の評価基準を提示するとともに、ジャンプの着地動作をリアルタイムかつ対話型でフィードバックできるシステムを開発することで、いつでもどこでもトレーニングのアセスメントが可能となりました。これらを踏まえて現在は身体感覚に関する評価観点を示すことで、アスリートやコーチが動きや力発揮といった客観的評価に、身体感覚といった主観的評価を結び付けたトレーニングを実施するための研究を進めております。

連携できるポイント

本研究で着目しているリバウンドジャンプに関する研究において、リバウンドジャンプ指数はアスリートの競技力と強い関係性があること、多くのスポーツ種目に内在する走、フットワーク能力に影響することが示されているとともに、幅広い世代で高いトレーナビリティーがあることが報告されています。さらに、リバウンドジャンプ指数は子どもの疾走能力や跳躍能力、高齢者の歩行能力の評価にも応用されています。したがって、自治体や企業と連携し、アスリートの競技力向上に加えて、高齢者の健康寿命の維持のための運動プログラム開発や子どもの発育発達およびタレント発掘に関するトレーニング指導や評価への応用を行うことが可能と考えております。

提供できるシーズまたは支援できる分野

  • 子どもの発育発達およびタレント発掘に関する体力テストや評価法の開発
  • 高齢者の健康寿命の維持のための指導や運動プログラムの開発
  • 健康体力を評価するための評価法や測定機器の開発
  • 学校体育の中で活用できる運動能力を高めるための教材や評価法の開発