このシーズの研究者

オダ イクヨ
小田 郁予
ODA Ikuyo
教養学部 学校教育学科 准教授
○ 学位
修士(教育学)(2017年3月 東京大学)
博士(教育学)(2024年1月 東京大学)
研究を始めたきっかけ
私はかつて学校現場で教員として勤務する中で、日々の教育実践が多様で複雑な課題に直面していることを痛感しました。決まりきった方法論だけでは語りきれない、現場の判断や工夫の積み重ねこそが、子どもたちの学びを支えていることに気づきました。大学教員となった後も、現職教員の経験を活かしながら、学校現場に長期的に入り込むエスノグラフィを通じて、教師たちがどのように役割を認識し、実践を形づくっているのかを描き出す研究を行っています。この研究を通じて、教育の複雑性や人間的営みの価値を社会に広く伝えることを目指しています。
研究概要
学校現場を対象にした長期的なフィールドワーク(参与観察・インタビューなど)を通じて、先生方が日常の実践の中でいかに専門性を発揮し、子どもたちの多様なニーズに応えているのか、その過程での葛藤や調整、教師間の協働の複雑さなどを研究しています。特に、明確な「正解」が存在しない学校現場において、先生方がどのような判断を下し、同僚の先生方とどのように協働しながら教育実践を支えているかを検討しています。支援が必要な子どもとの関わりや、学級経営、教職員間の協働や対話など、学校の「見えざる知」の豊かさを描き出していくことに取組んでいます。こうした研究方法や研究の成果は、教師の養成や学校の教員研修、学校改革、教育政策への示唆だけでなく、地域社会が学校の営みに理解を深めるための教材や研修プログラムの開発にも活用可能であると思われます。
連携できるポイント
- 教職員向け研修や対話型ワークショップの企画・運営
- 学校現場における組織文化の理解支援や教職員間の対話促進
- 教育関係者と地域住民が協働するプログラム設計
(例:地域の子ども支援、保護者のみなさんと地域・学校との連携) - 教師志望学生へのキャリア形成支援(教師の実像を描く資料提供)
- 企業・団体との連携による、対人支援職における判断支援の方法論共有(看護・福祉・子育て支援など)
提供できるシーズまたは支援できる分野
- 学校現場での対話促進のためのファシリテーション支援
- 教職員の協働体制構築に向けた現場コンサルティング
- 質的調査・エスノグラフィーに関する実践的な研修や研究支援
- 「教師の語り」から現場の実践知を引き出すワークショップ
- 実務経験を有する大学教員の視点からの教職キャリア支援・講演
産学・地域貢献に関する経験・実例及び連携できる団体
- 栃木市教育委員会「働き方改革プロジェクト」講師・アドバイザー参画
- 秋田県教育委員会「働き方改革プロジェクト」外部調査チームメンバー
- 小学校における7年間の学校支援ボランティア活動を通じた地域連携と教育実践の継続的理解