このシーズの研究者

オガワ テルミツ
小川 輝光
OGAWA Terumitsu
教養学部 学校教育学科 准教授
研究を始めたきっかけ
自分自身が受けた教育経験に基づくところが大きいと思います。ユニークな教育を行う学校に通っていたことから大正自由教育など教育史に関心を持ち、近代日本の戦争やアジアとの関係を理解したいと大学で歴史学を学びました。歴史を学ぶことを一般社会との接点で考えようと、20年間中学高校で社会科を教えてきました。前任校では選択者が水俣市を訪れる授業があり、水俣病の歴史がいまの子どもたちにどのような意味を持つのか考えるようになりました。並行して戦争や地域の歴史を実践し、東アジア共通教材づくりにも参加しました。これらの歴史に学ぶことの意義を研究によって明らかにしようと考え、特に2011年の東日本大震災がきっかけとなり、これまでの日本での教育実践や自身の実践などを分析して公表するようになりました。

研究概要
社会科は明治時代に学校ができた時にはありませんでした。歴史や地理は学ばれており、その後公民科ができます。戦争に負けた日本で民主主義的な社会をつくっていくために生まれたのが社会科です。そのような社会科のスタートを念頭に、地域社会と学校教育をいかにつないでいくか研究しています。主に専門とする歴史も教室の学びにとどめず、日常のなかの歴史とつなげながら、子どもたちが「歴史とのつながりのなかに生きているんだ」と実感できるような教育活動とはどのようなもの明らかにしようとしています。これまで素材として取り上げてきたテーマには、戦争と平和、公害など環境問題、多文化共生の実現などがあります。都留市に拠点を移してからは、川と水の歴史、富士山と観光、農山村地域の持続可能性などに関心を持ち始めています。いわば、これらのテーマの教育的な活用に関心を持っています。地域にある正負の遺産をいかに子どもたちに伝えて、新しい社会をつくっていくか研究しています。その結果、社会科に限らず総合学習や課外活動にも関心を持っています。

連携できるポイント
これまで地域社会のなかにある課題を学校教育活動のなかに組み込む研究と実践を行ってきました。その経験から次の連携可能性があります。
- 自治体や地域の方々と、地域の活性化や持続可能にしていくために、子どもたちに何をどのように学んでもらうか検討し、協働していきたいです。
- 水俣病の教訓を現代にいかに生かすか検討してきたことから、地域再生に取り組む方々と協働していきたいです。
- 歴史問題をめぐって中国や韓国の研究者・教育者との交流をしてきたり、地域で在日コリアンと交流してきたりしたことから、国際交流や多文化共生に取り組む方々と協働していきたいです。

提供できるシーズまたは支援できる分野
- 地域の歴史的資源の保存と活用(地域史・遺物遺構・伝統文化など)
- 地域の持続性にかかわる学校教育との連携(産業・環境・教育福祉など)
- 学校における社会科教材の提案や授業研究