東南アジア近現代史、フィリピンの植民地支配と教育・文化

このシーズの研究者

ウチヤマ フミコ

内山 史子

UCHIYAMA Fumiko

教養学部 比較文化学科 准教授

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○ 専門分野
人文・社会 アジア史、アフリカ史

○ 学位
東京外国語大学大学院比較文化研究科博士後期課程 単位取得の上退学(学位)国際学修士

研究を始めたきっかけ

学部生の頃にたまたまフィリピンを10日間ほど訪れる機会があり、その時にフィリピンという国に興味を持ち、大学でフィリピン関連の講義を受講したことがきっかけです。

フィリピンはアメリカの植民地であったにも関わらず、「親米国」と言われていて、そのようなフィリピンの「国民意識」や「国民文化」はどのようなものなのか、それはどのような経緯で形成されたのかということを知りたいと思いました。大学院では当初、歴史ではなくもっと新しい時代の教育政策について研究を始めたのですが、次第に20世紀前半のアメリカ植民地期の教育や文化政策が今に続く根源と考えるようになり、歴史研究に関心が向かいました。

研究概要

20世紀前半のアメリカによるフィリピンの植民地支配期には、公教育制度の普及が重視され、全土の村々に至るまで公立の小学校が設置されました。小学校では英語による教育が実施され、アメリカから派遣されたアメリカ人の教員がアメリカから輸入された教科書を用いて授業を始めました。

英語による教育は言語だけでなく、英語を通して伝達されたアメリカ的な価値観や消費文化をフィリピン社会に広め、アメリカ式の「民主主義」や「近代的な精神」をフィリピンの青年たちに植え付けました。さらに、そのような教育制度で育成されたフィリピン人教員たちは、アメリカがフィリピンを征服したフィリピン・アメリカ戦争を「アメリカの恩恵的な意図をフィリピン人が理解していなかった」と認識するようになりました。いわゆる「知の植民地支配」です。

その一方、自国や自文化に対する「誇り」は、フィリピン各地の産物や民族文化あるいは慣習に託され、植民地支配の政治的影響とは切り離された文化ナショナリズムとして興隆します。

このようなフィリピンにおける文化と植民地主義について、歴史的な視点から研究しています。

連携できるポイント

東南アジア諸国の文化や教育についての学習や交流。

提供できるシーズまたは支援できる分野

東南アジア諸国の文化や教育についての知見の提供。
また、比較文化学科の授業で実施しているスタディ・ツアーを通して得てきた、日本占領期についての東南アジア側の活動についての紹介。