大正・昭和期における野溝七生子文学の研究

分野:

日本文学 文学

SDGs:

4 質の高い教育をみんなに 5 ジェンダー平等を実現しよう 10 人や国の不平等をなくそう 16 平和と公正をすべての人に

このシーズの研究者

キクチ ユミ

菊地 優美

KIKUCHI Yumi

教養学部 学校教育学科 講師

研究を始めたきっかけ

大学生の頃、小説をジェンダーやセクシュアリティの視点から読む方法に出会い、物語を読み解く力は社会を読み解く力でもあると知りました。その後、大学院生のときに野溝七生子の文学を知り、大正~昭和期に家制度下で父から受けた抑圧による苦しみとそれへの抗い、そして母への寄り添いを、小説を〈書くこと〉のなかで試みた野溝文学を深く読み、その魅力を追究したいと思い、野溝文学研究に取り組み始めました。

文学作品を読み解き、研究すること、特にジェンダーやセクシュアリティの観点からそれらに取り組むことは、自身の生き方や他者との関わりを問い直し、様々な場面で物事を自ら選び取る力を与えてくれることにも大きな魅力を感じています。

研究概要

大正・昭和期の戦前~戦後にかけて活躍した女性作家・野溝七生子の文学を中心に、日本の近現代の女性作家による文学を研究しています。

作品発表時の社会状況や時代背景を、当時の法制度や文化状況などについて新聞・雑誌をはじめとした各種資料をもとに調査・考察しながら、その小説が当時のジェンダーやセクシュアリティをめぐる社会規範への抗いを、あるいは時代のなかでの限界をいかに描き出しているか、表現の細部を深く読み解くことで考えています。

たとえば、野溝七生子の作品では、家制度下での父から娘への抑圧、〈母〉や男らしさをめぐる問題などに注目して作品を読み解いています。

そのほかにも大正期に活躍した田村俊子や、現代の作家では吉本ばななや桐野夏生の作品にも興味を持っており、幅広い時代を対象としてジェンダーやセクシュアリティの視点から文学作品が私たちに示すさまざまな読みの可能性を検討しています。

連携できるポイント

文学作品にかぎらず、日常のなかにあるさまざまな言語表現を深く読み解く方法に触れ、それらを自分の力で読解した上で、自身の考えを言語化し、他者に伝える力を育成する支援ができます。

また、文学作品の研究や論文執筆、学生への論文指導のなかで培ってきた文章表現力や添削力をいかして文章力向上の支援も可能です。

提供できるシーズまたは支援できる分野

  • 日本近現代女性作家による文学作品に関する講演や講座。
  • 文学作品や国語分野(とくに読むことの領域)に関する教材開発への支援。
  • 文章の読解力や表現力の育成・向上に関する支援。