このシーズの研究者
研究を始めたきっかけ
総動員体制下のなかで、日本の子どもたちを軍国少年少女にするための有力な教育手段と目された映画・ラジオが、戦後=占領期においてはGHQ/CIEによって子どもたちに民主主義と平和を教える手段として積極的に活用されたことを知り、内容の「正しさ」を差し替えればいいのかと疑問をいだいたことが研究のきっかけです。
子どもとメディアの問題が教育課題として提出されるときには、「正しい」利用目的・「正しい」利用法であれば、われわれはメディアと理想的な関係を築けるといった無邪気な想定がされがちです。メディアを教育の手段として活用すること、あるいはメディアそのものを教育対象とすることが内包する危うさについて、戦前から戦後初期におけるメディア教育の歴史を対象としながら考えています。
研究概要
1930~1940年代において、ラジオや映画をめぐってどのような教育課題が提出されていたのかに注目して、当時のメディア教育論、メディア教育実践を研究対象にしています。
日本に限らず世界的にラジオや映画といった当時のニューメディアがプロパガンダに大きな役割を果たしたことはよく知られています。しかしながら、「上映」と「鑑賞」、「放送」と「聴取」は必ずしも噛み合っているわけではなく、そこにメディアを教育しようとする意識が生まれました。日本放送協会や教育映画製作会社、文部省といった当時の送り手側の関係者の論理と、教師や子どもといった受け手側の論理とが、どのように重なりながら、あるいは、どのようにずれながらメディア教育が展開してきたのかを、史的アプローチをとりながら研究しています。
連携できるポイント
メディア教育のカリキュラム開発
提供できるシーズまたは支援できる分野
メディア教育に関する講座