このシーズの研究者
研究を始めたきっかけ
大学入学の翌年、男女共同参画社会基本法が公布・施行されました。同法の前文では、憲法がうたう「個人の尊重と法の下の平等」にもとづいた男女平等に向けた「一層の努力」の必要と、その後の「一方」でつながれる「少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化」への対応が述べられています。ジェンダー平等の追求と少子高齢化や経済状況とがどのように関連するのかについて、政府や行政、専門家に任せてしまうのではなく、働き、生きるわたしたちの経験に根ざして学び、考えていくための仕組みづくりに興味をもち、生涯学習社会におけるジェンダー問題学習を研究することにしました。
研究概要
シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」と述べ、その後のウーマン・リブやそれを起点として展開されてきた第二波フェミニズムに大きな影響を与えました。それらのなかで生まれてきた言葉、つまりは、性や性別は生得的でなく、社会的、文化的、歴史的、政治的に生きるわたしたちの相互作用のもとでつくられ、学ばれ、生きられ、つくり直されるのだということが、わたしの研究の基盤にあります。
それにもとづき、これまで、男性たちが女性たちの経験と照らし合わせながら自身の性や性別を問い直す学びの場を研究の対象としてきました。そのなかでは、「男に生まれたのではない。男になったのだ」ということが確認できました。
近年では、これまでのわたし自身の研究が“男女”として性別が2つであること、異性愛であることを前提としてきたことを自省しています。わたしたちの経験が女性でも男性でない、異性愛でない暮らしのなかにあることを踏まえ、これまでの男女平等、ジェンダー平等とセクシュアリティ平等をつなぎ、ジェンダー/セクシュアリティ平等を切り拓くわたしたちの学びについての研究を行っています。
連携できるポイント
初等教育、中等教育、高等教育を経て、10代後半、ないしは20代前半で教育や学習は終えて職業生活に、という単線的でやり直し/つくり直しのできないわたしたちの人生や、学校・家庭・地域・職場のそれぞれが分断されて結びつけられない状況にあります。これらを問い直し、ジェンダー/セクシュアリティ平等を前提としながら、垂直的・水平的にわたしたちの経験をつなぎ、つくり直す状況の実現に向け、国内外の具体例を踏まえて学校・家庭・職場における“あたりまえ”を問い直す学びのコーディネートを行いたいと考えています。
提供できるシーズまたは支援できる分野
ジェンダー/セクシュアリティ平等、および生涯学習社会の推進に向けた国内外の学校・地域・職場における動きを共有しながら、そこから何を学び、どのようにこれからをつくりだすのかを考える場の支援をさせていただければと考えています。