このシーズの研究者
研究を始めたきっかけ
田舎の限界集落で育ち、街の中学校に進学して不登校になり、16歳の時に単身で国外に飛び出しました。アイルランド、スイス、フランス、イギリスと、慣れない言語と環境に格闘するなかで、マイノリティの文化に興味をもちました。また、母方の祖父は朝鮮総督府で働いていたので、植民地主義の歴史にも関心がありました。そのなかで出会ったのが、ジーン・リースというドミニカ出身で白人クレオールの作家の作品です。自分の関心事であった植民地主義と人種、ジェンダーの問題が、彼女の作品に全て凝縮されていました。そこからカリブ海域文学に触れ、その豊かさと複雑さに魅せられました。
研究概要
私の専門分野は、比較文学とポストコロニアル文学、カリブ海域文学です。ポストコロニアル文学とは列強による植民地支配の「あと」に植民地出身の作家によって書かれた作品を指します。特にイギリスの植民地であったカリブ海域出身の作家の研究をこれまでしてきました。ポストコロニアル文学で描かれている自然や女性にも興味があるので、文学と環境、ジェンダーの問題にも関心を持っています。
また、最近では英国におけるネオ・スレイブ・ナラティブ(新奴隷小説)の持つ社会的意義について、英国で1980年代から2010年までに発表された作品を中心に分析しています。ネオ・スレイブ・ナラティブとは、特に第二次世界大戦後のアメリカで盛んになった、奴隷制をめぐる物語の文学ジャンルを指します。それらは奴隷制を直接には経験していない作者によって書かれているのが特徴ですが、英国のネオ・スレイブ・ナラティブの研究はあまりされていません。英国在住のカリブ海域にルーツを持つ作家が、奴隷制について語り直すことで何を訴えているかを検証しています。
連携できるポイント
研究ではありませんが、長年英語教育に携わり、通信教育課程などで社会人に英語を教えた経験があります。受講していた学生から、社会人になってから、海外の取引先とのやりとりを英語でする場面が多いと聞いたので、地元の企業が海外と取引をしたり、外国人旅行客を呼び込んだりするための支援などできたらと思います。
提供できるシーズまたは支援できる分野
不登校児への支援や、都留市民と海外からの旅行客(英語圏とフランス語圏)や留学生、技能実習生との橋渡しや援助ができたらと願っています。海外からの旅行者などに、都留の観光名所の紹介や自然体験(茶摘みや田植えなどの農業体験や森林セラピーなどの)ツアーの企画と実施などができるかと思います。
産学・地域貢献に関する経験・実例及び連携できる団体
不登校児支援団体、国際交流団体など