このシーズの研究者

アベ シンヤ
阿部 真也
ABE Shinya
文学部 国文学科 講師
研究を始めたきっかけ
私は「きっかけ」と呼べるような体験には恵まれませんでした。強いて言えば、コインを投げて裏面が出たことでしょうか。大学1・2年生の教養課程から3・4年生の専門課程に進学するに際して、コイントスをして裏が出たので国文科に進みました。だから今、国文学の研究をしています。もしコインの表面が出ていれば数学科に進学していました(当時の私はいずれの分野にも関心がありました)。その場合、現在の私は数学の研究をしているのでしょう。
研究概要
昭和の戦前・戦中・戦後と活躍してきた探偵小説家・久生十蘭を中心に、日本の探偵小説ジャンルの成立と変遷を研究しています。主な関心の対象は、探偵小説というジャンル概念そのものが成立し、社会・時代状況との相互作用の中でそれが変容していく過程です。具体的には「本格ミステリー」の「本格」、あるいは「社会派推理小説」などの諸概念の形成と変化の渦中で、探偵小説家たちが生み出した個別の作品の様相を追跡しています。
今後は時代を下って、昭和30年代に隆盛を極めた松本清張を始めとする社会派推理小説へと研究を広げたいと考えています。また逆に時代を遡って、大正・昭和初期の江戸川乱歩の創作、更には明治時代の黒岩涙香の作品を通して、日本の探偵小説ジャンルの起源を探る必要もありましょう。各時代の探偵小説ジャンルが持っていた種々の可能性を拾い上げることを目論んでいます。
連携できるポイント
日本近代文学、特に探偵小説ジャンルの知見の提供。
提供できるシーズまたは支援できる分野
国語の教材研究。