公立大学法人 都留文科大学

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地域社会学科 峯田史郎准教授が「第二回 琉球の風〜沖縄祭りin高崎」で特別講話を実施しました

更新日:2025年7月16日 ページ番号:0012842

峯田史郎准教授(教養学部地域社会学科 国際政治学担当)が「第二回 琉球の風~沖縄祭りin高崎」で講話しました

峯田准教授から当日の様子についてご寄稿いただきましたので、以下に掲載いたします。

『2025年6月1日、群馬県高崎市で開催された「琉球の風、沖縄祭りin高崎」にて、特別講話の機会を得ました。
「戦後80年~平和への願い」というサブテーマのもと、私は沖縄を愛する多くの皆さんの前で、「平和って何だろう?」という問いを中心にお話しさせていただきました。

この沖縄祭りに集まった方々の多くは、沖縄の文化に魅せられ、歌や踊りを通して日々「平和」や「つながり」を体感されている方々です。
当日も朝から夕暮れまで、地域の皆さんの熱心な参加によって、会場は終始熱気に包まれていました。

そのような温かな場で、あえて学問的な視点から「平和とは何か」を問いかけることに、多少の迷いもありました。
しかし、平和とは押しつけるものではなく、それぞれの人の思いや経験の中に根ざすものであるという考えから、あえて「問い」として投げかけるかたちを選びました。

「平和の反対は戦争ではない」。この少し意外な言葉は、私が大学時代に出会った「平和学」という学問から得たものです。
貧困や差別、暴力といった“平和ではない状態”が社会に静かに広がる中で、戦争はその極端な表れにすぎません。
だからこそ、日常の中の小さな「平和ではない状態」に目を向け、それを少しずつ取り除いていくことが、私たちが平和に近づくための一歩なのだと思います。

私は現在、ミャンマーの少数民族、とりわけカチン州やシャン州の人々の「平和ではない日常」について研究をしています。
貧困、抑圧、暴力の中で、それでも音楽や文化、希望を手放さない彼らの姿に学ぶことが多くあります。
私自身は彼らの苦しみを完全に共有することはできませんが、「外の人間だからこそできることがある」と信じ、研究と発信を続けています。

また、出演者の皆さんは、出演に先立ってYouTube上で「私にとっての平和」をひとことずつ表現されており、その中には「笑顔」「思いやり」「ゆっくりお風呂に入れること」といった、
素朴で温かな言葉が並んでいました。こうした一つ一つの言葉に、私は深く共感しました。そして、それこそが平和というものの本質を物語っているように思います。

そして、この日のフィナーレを飾ったのは、山梨県出身のアーティスト、宮沢和史さんでした。披露された「島唄」は、沖縄の記憶と祈りを乗せて、会場全体を深い感動に包み込みました。
私自身、中学生時代に「島唄」に出会い、その旋律と言葉に込められた思いと意図に心を奪われた経験があります。
その後、平和学という学問に出会ったことも含め、「島唄」は私にとっての原点のような存在です。

その歌声が、いま目の前で高らかに響いたとき、胸が熱くなりました。山梨と沖縄、それぞれの風土から紡がれた魂が、高崎の地で交差し、響き合った瞬間だったと思います。
偶然か必然か、その交わりの場に立ち会えたことに、深い意味を感じずにはいられませんでした。

高崎に集まった皆さんの一人ひとりに、沖縄への想いと「平和を願う心」が確かに届いていたと感じています。
このような素晴らしい時間と空間にご一緒できたことに、心より感謝申し上げます。』
                                                                     (文:峯田 史郎 教養学部地域社会学科 准教授)

 
エイサー衣装の司会者からマイクを受け取る筆者 ※主催者提供 創作琉球太鼓「群天星/心」の皆さん ※主催者提供 最後は皆でカチャーシー ※主催者提供
エイサー衣装の司会者からマイクを受け取る筆者 ※主催者提供 創作琉球太鼓「群天星/心」の皆さん ※主催者提供 最後は皆でカチャーシー ※主催者提供​

【イベント概要】

■第二回 琉球の風〜沖縄祭りin高崎
日時:2025年6月1日(日)10:00~19:30
会場:もてなし広場(群馬県高崎市高松町1)
主催:琉球の風実行委員会
共催:株式会社上毛新聞社
ポスター