公立大学法人 都留文科大学

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国文学科

研究室 & ゼミ紹介5(国文学科)

更新日:2024年5月1日 ページ番号:0010947

授業風景

上代文学を研究するということ

小村 宏史 准教授
小村 宏史 先生

 当ゼミでは、上代(奈良時代以前)の文学作品を扱います。具体的には、『古事記』『日本書紀』『万葉集』、各国「風土記」などがそれに該当します。
 ゼミでの活動概容としては、まず3年次前期に真福寺本(現存最古の『古事記』写本)を対象にした演習発表(本文校訂、語句の解釈、文脈読解)を通して、作品にアプローチする基礎的な力を身につけます。3年次後期からは各自の問題意識に基づいた研究発表を重ね、卒業論文の執筆につないでもらいます。所属学生たちは自らの関心にもとづいて、韻文・散文作品の解釈のほか、言語表現の背景にある思想の検討など、多様な研究テーマに取り組んでくれています。
 さて私自身の研究対象は、上代文献に記された神話記事です。神話とは、神(超越的存在)の事績を語ることにより、宗教的・呪術的な力によって、現実世界に存在する疑問・矛盾・危機意識等を解消する力を持つものと定義されます。そうした神話的言説が作品内部の〈語り〉の装置としてどう活用されていたか、文献上の言語表現の検討を通して解明することが私の研究テーマです。
 神話というといかにも古代的発想の産物のようですが、実は現代の文化事象とも無縁ではありません。共同体が不安や危機に直面した際、神話的言説が求められることは現代でもままあります。新型コロナウィルス禍のなかで、「アマビエ」なる妖怪図像が人気を集めたのはその一例でしょう。
 大学の学問は卒論のためだけにあるのではありません。卒論は学問のゴールではないのです。ゼミで作品と真摯に向き合い、意見交換するなかで得た「人文知」を生かし、自らをとりまく世界の把握につなぐこと―上代文学研究の意義はそこにこそあります。