公立大学法人 都留文科大学

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学校教育学科

研究室 & ゼミ紹介8(学校教育学科)

更新日:2024年5月1日 ページ番号:0010974

授業風景

文学と社会を読み解く力をたずさえて、
あなたの未来へ

菊地 優美 先生
菊地 優美 先生

 文学研究の魅力の一つは、作品を深く読み解くなかで、その作品をとりまく社会との結びつきをも考えられることです。私が担当する言語文化ゼミでは、それぞれの関心に応じて文学作品を選び、書かれた時代や社会を視野に入れながら、作品を分析し、自分の読みを作り上げる方法を学んでいます。
 ここではその一例として、文学作品と社会の結びつきについて〈母〉というモチーフから見つめ直してみましょう。小説や映画などに登場する〈母〉は、「優しい」、「温かい」、「慈愛に満ちている」といったイメージのもとに描かれることが多いですね。
 ですが、こうした〈母性愛〉をそなえた〈母〉のイメージは、歴史的・社会的に作られたものであり、日本では大正期以降に女性の〈母性愛〉が強調されるようになっていったことが明らかにされています。この〈母〉のイメージは、女性の役割は子を産み育てることだという考え方と結びつき、自分らしく生きたいと願う女性の生き方の選択肢を狭めてきました。男性もまたそれにより子どもとの関わりから遠ざけられ、生き方を狭められてきたと言えます。 
 こうした〈母〉のイメージが作り出されてきた時代や社会のあり方を知り、そこから〈母〉を描く文学作品を捉え返したとき、その作品が固定的な〈母〉をめぐるイメージを再生産しているのか、あるいはそれに抗い、新しいイメージを立ち上げようとしているのかが見えてきます。作品に織り込まれた同時代の社会状況を考えた先に、その作品が私たち読者に向けてどのようなものを差し出しているかが浮かび上がってくるのです。
 言語文化ゼミでは、このように文学作品やその背後にある社会のあり方について自分の力で考え、それを的確に言葉にして他者と伝え合う方法を身につけることを目指します。4 年生を終えたときに、文学や社会を読み解く力をたずさえて自分の道へと進んでいけるように、ぜひ一緒に学びましょう。