ジェンダー研究Q&A

比較文化学科の大辻千恵子先生と社会学科の野畑 眞理子先生に答えていただきました!


Q.今、なぜ「ジェンダー」なのでしょう?

大辻 千恵子先生より

今、若いひとが希望をもって自らの人生設計をするにはあまりに困難な時代です。こうした状況下では、女性も男性も、性にかかわりなく、自己の能力を発揮し、仕事も生活もともに大切にし、人間らしく生きられる社会の構築がますます必要になっています。その意味で、両性の平等を認め、ジェンダー視点をもつということが緊急の課題になっているのではないでしょうか。

Q.「男らしさ」や「女らしさ」は、人間の本性として大切なことだと思います。ジェンダー研究はそれを否定する学問なのでしょうか?

大辻 千恵子先生より

ひとまず、「いいえ、そうではありません」とお答えしましょう。ひとには、女性であれ、男性であれ、「女らしい」ところや「男らしい」ところがあるのではないでしょうか。「女らしさ」はやさしさだと言う人もいれば、「男らしさ」を包容力ややさしさだと言う人もいます。でも「男だから泣くのは止めなさい」「男だからしっかりしなさい」とか、「女の子なのだから、おとなしくしなさい」とか言われながら育つと、無意識にこのような考え方で自分を縛ってしまいます。
ジェンダー研究は、ひとが、そのひとの性に縛られることなく、その潜在能力を開花させ、そのひとらしく、また人間らしく生きられる社会を一緒につくっていく道を探求する学問です。

Q.ジェンダー研究プログラムの意義をどのようにお考えですか?

野畑 眞理子先生より

日本では、憲法で両性の平等を規定し、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法も制定されていますが、ジェンダー平等はあまり進んでいません。そのため、日本は、先進国の中だけでなく、世界の中でも非常に女性差別の根強い国として知られています。ところが、当の私たち日本人はそれをあまり意識していないのが現状です。このような世界と日本の認識のギャップを埋めるためには、日本でジェンダーについての学習を促進する必要があります。その意味でも、2005年という日本の大学では早い段階で開始された本学のジェンダー・プログラムの意義は大きいと思います。ジェンダーの問題は、学校、家庭、職場、地域社会など生活のあらゆる領域に存在します。日常生活では、自明のこととして見過ごしていたそれらの問題について、何が何故問題なのかをジェンダー科目で学んでください。「もっと早くこういう授業を受けたかった」「目から鱗」などという学生の声を聞くたびに、ジェンダー・プログラムのさらなる充実が期待されているのを感じます。

Q.これから社会人となる学生に、どのような点からジェンダーを学んでほしいとお考えですか?

野畑 眞理子先生より

私の専門は社会学ですが、日本の企業経営・労働をめぐる諸問題をジェンダーの視点から研究しています。戦後の高度成長の下では、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業と、夫の職位や賃金が勤続とともに上がり、定年まで一つの会社で働き続けることができるという慣行によって、家族を含めた長期の生活が保証されていました。ところが、周知の通り、1991年のバブル経済の崩壊によってそれらの前提が変り始めました。そして、2008年秋のリーマン・ショック以降、雇用環境は非常に厳しくなっています。正社員になったとしても、以前のように雇用や賃金が生涯保証されるとは限りませんし、大企業でも倒産することがありえます。さらに、長時間労働による過労うつ・過労死、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどの問題の増加も指摘されています。このような現状を踏まえると、性別役割分業ではなく、女性も男性も「仕事も家庭も」協力して担っていくことが重要ですし、それが結果としてジェンダー平等社会に近づくことでもある、ということを考えてみてほしいと思います。

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