2011年12月アーカイブ

 本学の学術研究費等は6種類に分類される。このうち重点領域研究費交付金は、「地域に貢献する研究領域」「環境対策に貢献する研究領域」「大学の授業改善に関する研究領域」で、最近の研究成果を取りまとめた報告書作成などが中心、個人申請も共同申請もできる。今年度は次の4件で計440万円である。順に紹介したい。

(1)鶴田清司教授・藤本恵准教授・日向良和講師の共同申請(単年度)は「学習指導要領(小学校)改訂に伴い国語の教科書に記載された図書を網羅することにより、教師の能力向上、児童文学研究、地域貢献に供する」ことを目的とする。絵本や児童書の幅広い知識を必要とする教師に対して、地域図書館等を通じた「読み聞かせ」ボランティア団体との連携・協働を経験させる。図書館基本整備費の予算を加え、小学校国語教科書と連動した児童書コーナーを充実させ、国語科教員採用試験のためにとどまらず、市民サービスにも供する。なお児童文学作家の岡野薫子氏の絵と著作の展示が、12月12日(月曜)から来年1月29日(日曜)まで本学附属図書館において開催中であり、また1月18日(水曜)の16:30~18:00、岡野薫子講演会「子ども時代は今につづいて」が1号館の303教室で開かれる。

(2)楠元六男教授の個人申請(単年度)は、「ミュージアム都留における学生との共同展示会を通じ、展示方法の発展を研究する」もの。過去10数年にわたりミュージアム都留の冬期展示を担当してきたが、スタイルを一新し、学生との共同作業に切りかえた。学生を主体とし、1年間の準備をしたうえで12月中旬から2月にかけての展示を行い、展示の説明を学生にも担わせてプレゼンテーション能力を高め、市民との交流をはかる。12月17日(土曜)から来年2月12日(日曜)まで「芭蕉のさと企画展 甲州俳諧展 素堂と句合」が開かれ、12月18日(日曜)には楠元教授の講演会「素堂と句合」があった。山口素堂(1642~1716年)は松尾芭蕉の友人で、漢文の師でもあった甲斐の人。

(3)中地幸教授らの共同申請(平成22~24年度)の「ジェンダー研究プログラム記念事業と都留文科大学ジェンダー研究の発展に向けて」は、2005年に始まり、16名の教員と2名の職員が参加している。7周年に当たる本年、記念講演会を開催し、新たな展開へのバネにしようとする事業。12月10日(土曜)、13時から20時半まで、スウェーデンからBirgitte Possing氏とアメリカからJan Griesinger氏を招き、本学で盛大に国際シンポジウムを開催した。なお平成23年度の大学基準協会による認証評価結果書には、「ジェンダーについて体系的に学び、<社会倫理を培うことを目的の一つ>としている「ジェンダー研究プログラム」が設置されていることは、教員養成にあたり倫理観を培うとともに、学生のジェンダーへの理解を深めるなど、貴大学の特徴を表しているものといえ、評価できる」とある。

(4)杉本光司教授と情報センター職員3名の共同申請(平成22~23年度)は、「地域の小中学校教員や教育関係機関と連携したe-ラーニングを活用した情報に関する学びの支援システム構築の可能性と将来性の研究」。平成21年度に市内11の小中学校のホームページ作成支援を行い、うち10校分を完成させたが、その経験を踏まえ、新たに「表現活動における作品のデータベース化」と「教材データベースを活用したe-ラーニングシステム構築の設計」を展開する。事業の性格上、ローカルの活動が一挙に全国・世界へ展開する可能性を秘めている。

 学長ブログ「本学合唱団が宮城県被災地で公演(予告)」(11月19日号)でお伝えした2回にわたるクリスマスコンサート(&ふれあいイベント)にむけ、12月17日(土曜)の朝6時、バス2台を仕立て、一行が都留を出発した。宮城県山元町の立山下中学校で午後1時半から第1回公演を行い、同日晩には蔵王自然の家での同窓会宮城県支部の歓迎レセプションに出席、翌18日(日曜)の朝10時半から石巻市立東浜小学校で第2回公演を盛況のうちに終え、午後に出発し夜11時半に都留に帰着する強行軍だった。

 合唱の顧問で指揮者の清水雅彦教授と団員のほか、同窓会本部の千野文雄会長、桐井幸雄副会長、亀田孝夫副会長、原喜雄副会長、加藤一雄事務局長の本部役員、それに大学事務局から相川泰総務課長、小笠原武彦課長補佐、藤本信夫課長補佐が同行した。

 出迎えてくれたのは、同窓会宮城県支部の千葉龍正支部長、鎌田清前支部長、鎌田光彦元支部長、菅野俊雄事務局長を筆頭に約50人である。参加者は2つの開催校の小中学生、保護者や地域住民を合わせて約500名にのぼった。

 所用のため私はどうしても参加できず、気にかけていたところ、19日(月曜)早朝、清水教授からメールをいただいた。「昨夜は帰宅後倒れるように床に入ったのですが、この二日間早起きが続いたため、今朝も4時半に目覚めてしまいました。取り急ぎ、感謝の思いをお伝えしたく......合唱団員はもちろん、私にとりましても貴重な時を過ごさせていただいたことを御礼申し上げ、簡単なご報告を......」とある。

 午前の常任理事会の後、帰ったばかりの大学事務局の3人に聞くと、疲れと寝不足にもかかわらず、そろって「感動しました」「全国各地ら集まり、各地に散って活躍している本学の特徴が活かされた」と熱く語る。ビデオを撮るのに忙しかったという1人は、「涙をぬぐう姿はきちんと収めています」とも。

 「山梨日日新聞」が、18日(日曜)と19日(月曜)の紙面に写真入りの記事を載せた。ステージに並び歌う団員達の背後に、「元気に明日へ」の横断幕と都留文科大学同窓会の大きな旗が掲げられている。合唱団は「上を向いて歩こう」「きよしこの夜」「ふるさと」「赤とんぼ」など14曲を披露した。

 清水教授のメールから2つ引用させていただく。「お集まりくださった皆様が真剣に、時には微笑んで、またある曲では手拍子をしながら楽しんでくださいましたが、オープニングからハンカチで目を押さえる方もいて、どれほどの事が起こったのか、そして今まだ計り知れない悲しみや苦しみを、どれだけ背負っていらっしゃるのか、とても想像などできない......、と改めて感じました。」

 「<ふるさと>の曲は、これまで歌詞を思うと歌えなかったが、今日は初めて一緒に歌うことができました、勇気をいただきましたとお話しくださるそのお姿に、こちらも涙をとめることができませんでした。」

 合唱団の村松杏理団長、石川あゆみ学生指揮者、荒井希和子渉外担当をはじめ3連続金賞を獲得したみなさんは、「勇気と感動をもらい、多くを学ぶことができた」と口々にいう。改めて「よくやってくれた」と、称えたい。

 

 去年7月に学長に就任して1年4か月余が経ちました。これを機に、在任1年4か月の「まとめ」を綴ってみます。多忙な師走をひかえて、いささか急ぎ足ですが、来し方をふり返り、行く末の心構えとしたいと考えます。

 学生の能力と個性を伸ばしたい、そのための学修環境をいっそう充実させたい、学生が入学してよかったと実感する大学にしたい、これらの願いを実現するため、1年4か月にわたり、微力をつくしてきました。新任の私の知らないことが多いなかで、言うまでもなく、教職員のみなさんの知恵と協力により初めて進めることが可能でした。感謝に堪えません。

私が学長に就任した去年7月は、法人化後2年目に入ったところであり、法人化の是非をめぐる論争が依然として大きな課題でした。去年9月の教授会において、法人化についての私の見解を尋ねられたさい、「法人化は本学のベストの選択」と返答、その理由等を小グループで法的根拠に基づき検討を進めてから教授会に出そうと提案し、質問を寄せた3人の教授と熱心に対話を重ね、その結果を今年の3月教授会に報告しました。

 これと並行して、昨年末から次年度の教員配置要望を聞きつつ、教育研究審議会において今後の学科等の教員構成を検討し、「平成24年度教員配置に関する原則(指針)」を作り、これを実行に移しました。本年度は4名の専任教員採用を決めて公募、近く最終決定します。この指針により、全学的な将来展望を持って教員配置を行う基本的な仕組みが合意されました。次年度に向けても同様に進めていきたいと考えます。

 今春には本学の教育・研究環境などの整備状況の点検と今後の課題を再点検するため、4つのプロジェクトを段階的に立ち上げました。プロジェクトA(入試戦略)、B(教職課程と教職大学院)、C(カリキュラム改定)については、今年7月に中間報告を得ましたが、さらに具体的な作業を進めています。とくにプロジェクトC(カリキュラム改定)は、平成25年度から実施する予定でいるため、各論の詰めの段階に入ります。プロジェクトD(学生支援の5つのセンターを強化)も、一部の中間答申を得たので、次のステップに入ります。

10月には防災委員会を立ち上げ、企画班と実践班を置きました。東日本大震災に伴う学生の安否確認、被災学生への特別奨学金制度の創設等につづき、大震災の教訓を本学の現場で活かし、学生・教職員・市民の生命と安全を守ろうとするものです。いま企画班で防災マップの作製や避難訓練など具体的な検討を進めています。

 さて大学の役割とは、教育・研究・社会貢献であると私は考えます(学長ブログ「大学の役割」「大学教員の4つの仕事」等を参照してください)。当然のことですが、大学教育は個々の教員の研究に基づいて行われます。教員は研究機能を高めるばかりでなく、自分の担当する科目のカリキュラム上の位置や受講生の関心・学力等を確かめ、研究成果を有効に教育に活かす「教授法」の工夫やFDを通じた教育内容の向上等が今後さらに重要になると思われます。

 この教育・研究・社会貢献という大学の役割を担うのは教職員・学生にほかなりません。教職員の役割分担と両者の協働的関係をさらに強めて大学運営を進めることにより、学生・保護者・市民・国民のいっそうの理解と協力を得られるよう努めたいと考えます。